ciccioneの日記

30歳を過ぎて見切りで会社を退職した人間が、再び収入を得るような仕事に就けるまでの日々を記録していきたい。

アイスと雨音

昨日、渋谷で映画「アイスと雨音」を観てきた。

久しぶりの映画。どんなものだろうと思っていた。74分1カットという今まで観たことのない映画。f:id:ciccione:20180304123337j:plain

内容については、ネタバレしないように書きたいと思うが、率直な感想としてガツンと今の自分に叩きつけられるような内容だった。

青春とは一言で片付けられない、少年少女たちの姿。舞台に立つ、そのことに一生懸命取り組む姿。そこに水を挿す大人の理不尽さ。

劇中劇という、現実と虚構の世界、そして舞台という芝居に対して真摯に向き合う姿、そして舞台が中止になったという現実に抗おうとする少年少女たちの行き場のない想い。その想いが突き動かす衝動。

大人になると、何事も仕方ない、ここが妥協点か、せっかく頑張ってここまで”きたけど”ってどこか折り合いをつけてしまう。でも彼らは違う。ここまで頑張って”きたんだから”という強い想いを持っている。それが見る人を惹きつける。

MOROHAさんの曲も、それに拍車をかけるようにどんどんと観てる側に現状を訴えかけてくる。魂の歌。

曲一つ、セリフ一言も聞き逃せない。どれひとつとってもグサッと刺さる。一度観ただけでは、うまく感想を表せられない。それでも、こう書きたいという衝動に駆られる。そんな映画。

舞台挨拶での田中玲子さんの「自分を変えたくて」という言葉も響いた。それが映画にそのまま反映されているようで。現状維持、何か一歩踏み出さなきゃいけないのに、今のままでもいいと思ってしまう自分に対して背中を押すような一言だった。

f:id:ciccione:20180304123504j:plainこんだけ、引き込まれる。いろんな感情を引き出される。一瞬も見逃せない、と思わせられるのも74分1カットという手法のできる技なのかもしれない。

上映後、プロデューサーの阿部広太郎さんにお話を聞くことができた。色々お忙しい中お話を聞くことができたのだが、印象に残っている話として、なぜこの74分1カットの手法を取ったのか。

この映画は劇中劇。劇は舞台だけでするものと思われているが、映画というスタイルを取りながらも、この少年少女たちの葛藤・戦い自体が一つの舞台である。それが、リハのスタジオから街、劇場で繰り広げられている。これも一つの舞台。だからカットを入れることなく、1カットなんだと。

そう我々は映画というのではなく、舞台を観ていたのだ。舞台には幕はあっても全ては一本勝負。だからこそ引き込まれるものがあるんだと感じた。

長々と書いてしまったが、本当にいい映画だった。ぜひ多くの方に足を運んでもらいたい。

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