ciccioneの日記

30歳を過ぎて見切りで会社を退職した人間が、再び収入を得るような仕事に就けるまでの日々を記録していきたい。

いつから一人が好きになったんだろう。

いつから一人が好きになったんだろう。

ベランダで一人佇みながら考える。

学生時代は、常に輪の中にいた。どこか斜に構えたスタンスでいたものの、学校という狭い社会のカーストの中で、頂点に立つグループの中に自分はいた。トイレでだべったり、屋上に侵入しては好き勝手に遊んでいた。

大学に入って、少し様子は変わった。中高のようなカーストはないものの、それでも常に誰かと一緒にいた。特に女子と一緒にいた。同性同士のノリに何となく疲れはじめ、程よい距離感で居られる女子と一緒にいることが多くなった。だから、女性関係には困ることがなかった。なんて言うと、やや偉そうなもの言いになるが。

社会人になってからは、競争を意識しだした。仕事に没頭した。昔から完璧主義と言われていたことが、ここになって如実に出てきたように思う。誰にも負けじと、早朝から出社し、日をまたぐギリギリまで仕事をした。「お前の同期は使えないなぁ」と先輩に愚痴られると、こいつらと一緒にされたくないとよく思っていた。

だから上司や先輩からの「檜山ー、今夜空いているか」には付き合うものの、同期からの誘いは、極力行かないようにした。友達ごっこをしている訳ではあるまいし、と。そうしているとだんだんと腰が重くなってきた。社歴も10年を越えると、そもそもそう言う声がなくなってくる。

プライベートにおいても億劫になってきた。大学時代に遊んでいた子達は、みんな結婚し、女性が多かったから疎遠になっていった。同性の友人たちも、どこか距離を置いていたから連絡を取ることも無くなっていった。それでもよかった。全てが面倒に思えてきたから。

そうこうしているうちに同期はそれぞれ結婚していき、家庭を持ち同期会も減ってきた。気づけば、「檜山ー」と自分を呼ぶのは、先輩と上司が大部分を占めるようになっていった。もちろん後輩を連れて飲みにいくこともある。それでも先輩後輩の関係である。自分の方から何でも言える仲ではない。

仕事に没頭しすぎて私生活の方もおろそかになっていった。時々自分は何をしてるんだろうと思うことが多くなった。

そして今、またベランダで同じようなことを考えている。一人でいることも寂しくなくなった。こうなるともう人間としてダメなんじゃないだろうかと。でも、もしかしたら強がっているだけなのか。

そんなこんなを考えながら、冷たい夜風に当たりながら、一人缶ビールをまた一つ空ける。タバコを吸いながら。