ciccioneの日記

30歳を過ぎて見切りで会社を退職した人間が、再び収入を得るような仕事に就けるまでの日々を記録していきたい。

何年、恋を休んでますか?

随分涼しくなってきたものだ。

今日も”ぼやきの山田”に連れられて、いすゞに向かう途中ふと思った。もう秋なんだ、と。

「おーい、檜山行くぞぉ」

いつもの一言でまた行くことになった。でも下心があった。ここに来ればまた彼女に会えるんじゃないかなと。連絡先は聞かなかった。同じマンションだから、どこかで会えるんじゃないかと思って。でも実際はあれ以来会えていない。

目の前では山田部長が上期の終わりも近づき、下期に向けてのことを話している。それに対して、そうですねと相槌を打ちながらちょいちょいと辺りを見回す。やっぱりいないか。扉が開けばついつい見てしまう自分がいる。

部長は相変わらず部の事情について話をしている。時折意見を求められるから、えっと、何の話をしてるんだっけと一生懸命頭をフル回転させ、話を振り返る。気もそぞろだ。

「それにしても最近娘がまた結婚式のことで揉めて、ぶつくさ言ってるんだよ」

急な話の方向転換だな。あ、でも部長の娘さんはこないだ婚約のご挨拶があったって話をしていたよな。どうやって出会って、どうやってお付き合いに至ったんだろう。前回は自分の恋愛事情を聞かれて、「何もないっす」と答えたが、こう気になる人が出てくるとその辺がなぜか気になってくる。

でも自分これは好きなのかな?

「どうした檜山?さっきからチョロチョロと周りを見回して心ここにあらず、みたいになってるけど」

「あっ、いえ何でもないです」

意外と一人で一方的に話しているように見えて人のちょっとした仕草を見てるんだな。

「誰か探してんのか?お前は意外と分かりやすいからな」

なんと。ちょっとした仕草のつもりが、そんなに分かりやすく出てしまっているのか自分?

「まぁ、いい。明日も早いし、今日はこのへんで切り上げるか」

1時間もないくらいの滞在時間。珍しい。部長の顔をよく見たら、まったくお前は、と絵に描いたような顔をしていた。すみません。

結局お店で会うこともできなかった。何を探して、何がしたいんだろう自分。部長と別れたあと、随分と自分の心の中を探ってみたけど何も出てこない。

「恋を、何年休んでますか。」

そんなコピーがあったっけか。相当休んでいます。ちょっとそのコピーに向かって教えを乞いたい気持ちだ。今日もコンビニでビールを買ってベンチで休もうかな。

ちゃっぴいな自分。