ciccioneの日記

30歳を過ぎて見切りで会社を退職した人間が、再び収入を得るような仕事に就けるまでの日々を記録していきたい。

どこかで夏の陽炎。

うだるような暑さ。歩けばすぐ汗が背中を流れる

改めて思う、なぜ夏場もスーツなんだろう。社会人としっかりして見えるためだけなのだろうか。であれば、クリエイティブと呼ばれる業種の人たちが羨ましい。

そんなことを思いながら今日も出勤をする。サマータイムで1時間前倒しの始業と終業。ただ、自分はフレックスというていでいつも通りの時間に出社する。それくらいは許されていいだろう。

お盆はやはり電車も空いているので、そこだけが何よりもの救いである。あの夏場の体温の高いおじさんたちと背中合わせにして電車に乗るのなんて嫌なものだ。だからジャケットはいつも着用。シャツ一枚で触れるなんて考えられない。

お盆のいいところは、仕事自体が少なくなることと、会社からも人が減ることだ。つまり自由。それに尽きる。夏休みがいつでも取れるというのがこの会社のいいとこである。ちなみに今日は部長が帰省中のため、のんびり仕事ができる。

午前中は、週明けの再度の役員プレゼン資料を修正して過ごす。部長よ、チャンスをくれて感謝。心の中で思う、頼るべきは飲み友。

お昼。いつもなら部長以下、男性陣に誘われていくのだが、今日は部長不在。課長はそれをいいことに、ちょっとフライング気味に昼食に行った。結局みんなお盆は仕事をしていてもお休み中なんだと思う。

久し振りに部署の女性陣と昼食にいくことにした。この場合はランチか。何食べにいくかは女性陣に任せた。男同士だと、定食、中華、うどん、だいたいそのあたりが定番。しかも一緒に行く割には特に何を話す訳でもなく、さっさと食べて早々に会社に戻り、みんな昼寝をする。それぐらいの関係なら一人でご飯を食べれないのかと時々思う。

と、女子は何を食べに行くんだろうと思ったらタイ料理だった。タイカレーを食べてしっかりと汗をかきたいらしい。女性はやはりたくましい。そして俺の前で汗かきたいって俺は男性として見られてないのか?

「檜山さんは、どこか夏休み行かないんですかー?」

と若い子が聞いてきた。

あれっ。

女性が前を通りすぎた。どっかで見た気が。

「あ、今のところ予定はないかな。秋過ぎの空いた時期に行きたいなって思ってる」

お店についた。女性客がたくさん。女性って会社じゃ涼しい顔してるけど、結構夏にあえて汗をかくようなもの食べるんだと感心する。女子に疎い訳ではなく、会社じゃ女子力高いと言われるくらいの扱われ方をしているが、さすがにここ最近おじさま方とざるそばばかり食べてると、鈍ってくるものがある。

「檜山さんって、今年も星野ですか?」

「行きたいね、お金があれば」

ここ最近星野リゾートにハマっている。毎回そこのお土産を買ってるから、そんな話に。

「ゆきちゃんは?」

女子はやはり会話が弾むものだなとつくづく思う。おじさんたちのちょっとの会話と、お昼寝に付き合わされてるぐらいなら女子とランチしている方がどれだけ情報収集に有効か。

午後は、惰性でほぼ過ごす。ちょっといつもより丁寧に後輩の指導をしながら。課長は外回りで直帰とのこと。お盆のこの時期、大して外回りするような取引先はない。メーカーが多いから、工場のお盆に合わせて本社も休みに入るからだ。なので、きっとサボりだ。全員お休みモード。だらだらと会話をしたりお菓子を食べたり。年次が上だけど課長がサボってるのだから、率先してだらける。

みんなはサマータイムなので、17時過ぎてパラパラと退社していった。ランチの時にも話していたのだが、やっぱりみんな夏は恋に忙しいのか、駆け足で帰っていく。ちなみに自分は、恋は久方お休み中である。夏だけど冬眠状態。

暑さがまだ引かない中帰路についた。いつものコンビニの前を通りかかる。寄るかどうか考えたが、今日は自炊にしよう。

あれっ。

コンビニを過ぎようとした時に、どこかで見た顔が。あ、昼ランチに行く時に見た顔だ。近所の人なのか?気になったので、ストーカーよろしく、ちょっとコンビニに入ってみる。やっぱりそうだ。というか、

いすゞ」で部長と飲んでる時に見た人だ。

コンビニに入る時のあのメロディーのおかげで目が合った。心がなぜだかちょっとキュッとした。

入っただけだと変だから、缶チューハイを買うことに。

「108円になります」

帰って、さっと簡単にゴーヤチャンプルーを作り、風が気持ちよくなってきたので、狭いベランダに置いた折りたたみの机と椅子にランタンを灯して、缶チューハイを飲みながら食べることに。ちょっとした非日常の気分。街もお盆で静か。ちょうどいい。

「あの人、こっちの人なんだ・・・」

ちょっとなんだか夏の胸騒ぎがした。