ciccioneの日記

30歳を過ぎて見切りで会社を退職した人間が、再び収入を得るような仕事に就けるまでの日々を記録していきたい。

主役体質と末っ子気質

世の中には、生まれながらに主役体質の人がいる。そして拭い切れない末っ子気質の人もいる。

主役体質は、別に目立った感じの人ではなく、地味めだけどなぜか輪の中心で話を進める人。もしくは話が振ってくる人。数人の飲み会でなぜか偏って話が盛り上がるグループ。しかも主役体質はバッティングしない。なぜか上手く共存できるのである。これは学校のカースト制度の上層にいる人間たちに近いものを感じる。

そういう場にいると末っ子気質はへそを曲げる。というか曲がってしまう。この傾向は歳をとると落ち着いてくるかと思っていたが、どうやらそうではないらしい。やっぱり根は構って欲しいのである。カーストの上層にいた時には「なに、なに〜?」なんてグイグイ行くから気にしないが、歳をとるとその部分だけ気が回ってしまうようになる。

まぁ、一言で言ってしまえば大人気ないだけなのだが。

飲み会の場で、個室のような場所ではなく賑やかな場所になると話が聞こえなくなる。もうこうなると終わりである。話が主役体質の方で進んでしまうと、末っ子気質ができることは黙り込むことぐらいしかない。

一生懸命話をして構ってもらうほど労力はかけたくない。かと言って、何話してんの?なんて話の腰を折るような真似は歳が邪魔してできない。

ただただタバコをふかして順番が回ってくるのを待つのみ。これが結構ストレスがたまる。そして話が回ってきた時には、へそが曲がりきっているので嫌味がぽろっと出る。で、何あいつ、みたいな空気を作ってしまう。

そんな極端なことは世の中そう起きるものではないとは思うけど、やはり主役体質の人間と末っ子気質はやや相容れないものがあると思う。

ただ違いは主役は輪の中心にいるから気が回りにくいが、末っ子は顔色を伺っているから気が効くタイプであると信じている。

主役体質の末っ子気質は最高だ。あーマジでどうでもいい話だった。

何年、恋を休んでますか?

随分涼しくなってきたものだ。

今日も”ぼやきの山田”に連れられて、いすゞに向かう途中ふと思った。もう秋なんだ、と。

「おーい、檜山行くぞぉ」

いつもの一言でまた行くことになった。でも下心があった。ここに来ればまた彼女に会えるんじゃないかなと。連絡先は聞かなかった。同じマンションだから、どこかで会えるんじゃないかと思って。でも実際はあれ以来会えていない。

目の前では山田部長が上期の終わりも近づき、下期に向けてのことを話している。それに対して、そうですねと相槌を打ちながらちょいちょいと辺りを見回す。やっぱりいないか。扉が開けばついつい見てしまう自分がいる。

部長は相変わらず部の事情について話をしている。時折意見を求められるから、えっと、何の話をしてるんだっけと一生懸命頭をフル回転させ、話を振り返る。気もそぞろだ。

「それにしても最近娘がまた結婚式のことで揉めて、ぶつくさ言ってるんだよ」

急な話の方向転換だな。あ、でも部長の娘さんはこないだ婚約のご挨拶があったって話をしていたよな。どうやって出会って、どうやってお付き合いに至ったんだろう。前回は自分の恋愛事情を聞かれて、「何もないっす」と答えたが、こう気になる人が出てくるとその辺がなぜか気になってくる。

でも自分これは好きなのかな?

「どうした檜山?さっきからチョロチョロと周りを見回して心ここにあらず、みたいになってるけど」

「あっ、いえ何でもないです」

意外と一人で一方的に話しているように見えて人のちょっとした仕草を見てるんだな。

「誰か探してんのか?お前は意外と分かりやすいからな」

なんと。ちょっとした仕草のつもりが、そんなに分かりやすく出てしまっているのか自分?

「まぁ、いい。明日も早いし、今日はこのへんで切り上げるか」

1時間もないくらいの滞在時間。珍しい。部長の顔をよく見たら、まったくお前は、と絵に描いたような顔をしていた。すみません。

結局お店で会うこともできなかった。何を探して、何がしたいんだろう自分。部長と別れたあと、随分と自分の心の中を探ってみたけど何も出てこない。

「恋を、何年休んでますか。」

そんなコピーがあったっけか。相当休んでいます。ちょっとそのコピーに向かって教えを乞いたい気持ちだ。今日もコンビニでビールを買ってベンチで休もうかな。

ちゃっぴいな自分。

最後のデート

突然だったフラれ方。

後悔することたくさん。結婚する気がないなんて言わなければよかった。夜中にちょっと寂しくなってちょっぴり爪痕を残そうとしたりしなければよかった。なんて反省していた。

「昨日は一方的にごめんなさい。もし話すことがあればこれから近くに買い物に行くので・・・」

最後に会うチャンスができた。でももう気が変わらないことは知ってる。それでも会って直接フラれたい。

昼。近所の広い公園で会うことになった。もう向き合うことはない。横並びになって前を向いて話す。時折横を見ながら。

話したことは、今までと変わらなかった。終わりにすることを直接聞くわけでもなく、もうワンチャン欲しいと言うわけでもなく。ただ、今までみたいに彼の愚痴を聞いたり、仕事の話を聞いたり、疲れてるって話を聞いたり。1時間弱ぐらいの会話。季節の変わり目、日陰は少し肌寒くなっていた。

彼女は銀行とスーパーに買い物に行くと言った。

「荷物あるし、帰り車で送ってくよ」

ドライブの約束をしていた。こんな買い物帰りの足だけど、もうこれで本当に最後。ドライブのつもりで声をかけた。

車を取りに帰って、彼女が買い物を済ますのを待つ。家までの30分くらいの最後のデート。話はとりとめのない話。この時間も終わらなければいいのに、ともなんとなく思わなかった。何も終わりに触れない最後のデート。別れも惜しむことなく淡々と。

帰り道、曲も流さずただただ一人の沈黙の中帰る。

初めは話しやすい45度の角度、2回目以降は向き合っての会話、最後は横並びになって話す。向き合い方で人の距離って変わるんだな。最後は同じ景色を見ながら間には距離ができている。

家にあげてもらってハグをしたのが先週なのに、すごい昔のように感じる。最後のデートで最後のお願い。

「連絡はもうしないけど、連絡先を削除するのだけはして欲しくないな」

「りょーかいです」

またいつか会えるのかな。たった2ヶ月の出来事だったけど、ありがとう。

フラれ方は突然に

浮気相手は突然フラれる。

「また連絡待ってる」

「うん」

先週の話。

そして今日。

もう彼とは別れる予定だし、新しい人を見つけたいから、もうこの関係は続けられない。連絡ももう取りたくない。会いたくない。忘れて欲しい。連絡先を消します。

一方的な言葉。

LINEでのやりとり。

こんな悲しい終わり方はあってもいいのでしょうか。

たった1時間もないやりとり。

友人と思っていたのが浮気相手と称され、浮気相手はこんな簡単に捨てられる。そんなものなのだろうか。

悲しい以外の言葉が見つからない今日この頃。

アイディアが出てこない。

最近アイディアが出てこない。

いつもなら朝の散歩に行く時には頭がスッキリ回転をして、散歩中にアイディアが「あっ、こんな風にいけんじゃん!」と神のお達しのように降ってきた。そして、それがだいたい今までで一番いいアイディアだったりするのに、最近はめっきり何も降ってくることがない。

怠惰な生活になっちゃってるからかな。

今までは会社人同様9時には作業に取り掛かっていたものの、最近は夜更かしが多くて朝起きるのが9時になってしまっている。何なら今日は10時に起きてしまった。

そしてまだ眠い。

これじゃぁ、当時の本気のようなことにはならないな。

初めての浮気相手

「彼は私が浮気をしているのを知らない」

意外な言葉。そして斬新な響き。

今まで彼氏のいる女性とご飯を食べることは多々あった。ランチ、ディナー関係なく。もちろんディナーに関しては黙ってのことだとは思う。既婚者と二人で飲みに行くことももちろんあった。

でも、ただご飯を食べるだけ。何があるわけではない。

それが、ご飯を食べに行く道すがら言い放った彼女の一言。

あ、俺今浮気相手なんだ。

これまで当然のようにしてきた行為に名前がついた。聞いている話は、仕事の話、彼の話、彼女のこと。いつもと何ら変わりがない。ただ、”ただいま浮気相手中”となるとちょっと心境が違ってくる。

人生30数年、自分のやっている行動が浮気相手に値するとは一度足りとも考えたことがなかった。仲のいい子とご飯しているだけ。それが浮気だったとは、新鮮。

さて、浮気相手は今後何をしたらいいのだろう。何か喜ばせるようなことをしなきゃいけないのかな。浮気相手というレッテルが初めてすぎて何をしたらいいのか急に分からなくなる。

そんな自分を見て、彼女は「女の子に不慣れなんだね」と言った。

扱いが比較的上手いと言われてきただけに、不慣れという言葉も新鮮だ。何を求められているのだろう。考えものである。

次回会うのも連絡次第。待ちぼうけである。

あれから、また普通の日々なんだけど…

あれからまた普通の日々を送ってる。

檜山さんと一緒に帰った日、電車の轟音で聞き取れなかっただろう声を、しっかり聞いていてくれた。なんだか照れ臭くなって窓の外をずっと見てしまっていたけど、とても好感の持てる人だった。

途中コンビニに寄って別れようかと思ったけど、結局マンションまで行った。たわいもない会話。どこかで、どこで会ったことがあるのか頭の中を探して見たけれど、まだ皆目検討がつかない。

あの日の帰り、出会ったベンチの前を通りすがった。檜山さんは、住んでるフロアを知らないようにか、

「ちょっと涼んで帰ります。今日はありがとうございました。おやすみなさい。」

と言って別れた。

低層階に住んでいる私は、エレベーターを使わず階段を登って行った。時折外が見える箇所からちょっとしたら立って歩き出した檜山さんが居た。やっぱり気を遣ってくれていたんだ。

連絡先の交換はしなかった。また会う気がして。実際はあんなに目撃をしていたのに、一度会うとめっきり見えなくなってしまった。でも、もし会ったらなんて声をかけたらいいのかな。なんて考えてしまう。

こういうのっていつぶりだろう。

もう秋が来た。夏の勢いではなく、心の虚ろいやすさ季節。

そう思いながら今日もまたいすゞに来てしまった。仕事の憂さ晴らしに来ていたはずなのに、物思いにふけっている自分。レモンサワーが染み渡っていく。

今日もまたベンチに座ってたら、会ったりするのかな。